数年前になりましたが、セルフビルドのお客様に、6帖のログハウスを5棟納品しました。
設置場所は栃木県那須塩原市の関根養魚場という釣堀りで、なんと5棟のうち4棟は池の上にイカダを浮かべ、その上に設置するらしいのです。
「御冗談でしょ・・・」と思いましたが、社長は本気も本気です。
池に案内すると、なんと池には大きなウッドデッキが4つ浮いておりました。
『これ、でも上にログハウス建てたら沈むんじゃ・・・』
不安に思いましたが、社長によるとちゃんと浮力と重量を計算したから大丈夫とのこと。
確かによく見ると、デッキの下にはドラム缶大のポリタンクが山ほど入れられています。
まあ、お客様が納得の上でやるんだから、別にいいんでしょうね。
ただ、その時点でウッドデッキのイカダは池の上を好きなように漂流しています。
あそこにどうやって持って行くんだろう。まさか泳いで?
そう思っていると、社長は手漕ぎのボートに乗って、漂流するウッドデッキを迎えに行きました。
ボートをウッドデッキにつなぐと、今度はウッドデッキの上に乗り、長いオールで漕ぎはじめました。
するとまあ驚いたことに、5メートル四方もあるウッドデッキが案外簡単に動き始めました。
(あとで気が付いたのですが、オールは水底に届いてました)
こうしてウッドデッキを湖岸(池岸?)につなぐと、いよいよ施工が始まりました。
私が倉庫と現場を行ったり来たりする間、ログ壁がどんどん積みあがっています。
ふと見ると、ウッドデッキ(イカダと呼ぶべき?)がちょっと沈んでます。
いや、かなり沈んでます。
「これ大丈夫ですか?」
すると社長、「思ったより重いな。浮きを増やしましょう。手伝ってください」と言うと、フォークリフトに見たこともないような巨大な発泡スチロール(小錦サイズ)を積んでやってきました。
社長が岸からフォークリフトでイカダを持ち上げて、私が発泡スチロール(小錦サイズ)を入れる。
90度回転。
また入れる。
90度回転。
また入れる。
もう1回。
4方向に小錦・・・じゃなくて発泡スチロールが入ると、あら不思議というか、当然というか、イカダは浮力を取り戻しました。
こうして水面に浮かぶ、世にも珍しいログハウスが完成したのです。
聞けば、ここから糸垂らして、釣った魚を焼いて食べたりビール飲んだりするとか。うーむ、なんか楽しそうだぞ。
その後1年が過ぎ、忘れたころにテレビでこの関根養魚場が取り上げられていました。
いやはや、今思い出しても愉快な思い出です。