本日はドラム缶製炭の実習です。
横向けにおいたドラム缶の裏面を10センチ繰り抜いてステンレス製煙突を挿し、前面に炭にしたい木を入れる入り口を繰り抜きます。
入口の前を耐火レンガの障壁で覆いますが、真ん中2個だけは取り外せるようにし、ここから炭にしたい材料を入れます。

断熱と気密のため煙突と焚き口だけ出して、ドラム缶を土で覆います。
材料を入れ終わり、焚き口以外を土で覆ったら、こんな感じ。

正面からみたところ。

これで準備完了。いよいよ火入れです。
御存知のとおり、炭とは燃料のわけですから、木が完全に燃えてしまっては意味がありません。
よって熱を与えるために焚き口に薪をくべますが、ドラム缶の中の木には、火は届けず熱だけ送って、蒸し焼きのような状態にします。
そうやって不純物だけを燃やし、純粋な炭素の塊(に近いもの)を作ります。
この間、煙の温度が重要で、昔は職人の感で温度を計っていたようですが、今は煙の排出口に温度計を置いて温度を計ります。

薪棚から薪を取り出して割り、焚きつけ用ぐらいの小さな薪を作ります。

焚き口で薪を燃やし、ドラム缶内部に熱だけを送ります。
硬くて良い炭を作るには火入れの時間が長いほどいいが、大量の薪が必要だそうです。

燃料を作るのに大量の燃料を使うというのも変な話ですね。
まあ、現代社会は石油を運ぶために石油を使ったりしてますが。

しばらくすると後ろの煙突から少しずつ煙があがってきます。
ちゃんと空気は通っているようです。

どんどん薪をくべ、一定温度に上がると炭にしたい材料が自燃という状態に入ります。
自燃になるまで、早くて3-4時間、遅くて6-8時間。
煙の温度が85度を超えたら、焚き口に2-3センチのパイプを通し、あとは土で覆います。
この辺の時間や温度やサイズは絶対的なものでは無いので、回数を重ねて自分で調整していきます。

煙の温度が80度から150度あたりの時に、煙から粗木酢液を取り出し、3ヵ月ほど寝かして木酢液を取り出します。
木酢液は、家庭菜園やなんかに何かとお役立ちです。

煙の温度が300度を超え、煙が透明になったら窯止めです。
焚き口を密閉し、火を止めます。
この時ドラム缶内部の温度は700度から800度。
どこかから空気が侵入して火が止まらないと、中の炭は燃え尽きてただの灰になってしまいます。

このあと製錬、いわゆる「ねらし」をし、窯の中の揮発性ガスを抜きます。

製錬が終わったら、煙突も塞ぎ、土で覆って15時間以上冷まします。
完全に冷めたら、被せていた土を掘り出します。

炭をドラム缶の中から引っ掻きだして、

選別します。出来のいいものは炭として、出来の悪いものは粉砕して畑に撒くなどします。

中には、こんな大物も。

だがこれは不純物が残った不完全燃焼で、炭としては使えません。
薪に使うか、次回もう一度窯に入れて炭にします。

以上、ドラム缶製炭でしたが、やってみると非常に面白いですね。
こんな苦労をしても取れる炭はわずかなので、節約にはなりません。
あくまで作る楽しさや探究心を満足させるもの。
だけどこれが発展すると、実用的な何かにつながっていくかも。
今日もまた、貴重な体験をさせていただきました!